いよいよ本日9月3日(月)22時25分より、ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」がスタート。初のイタリア文学。解説するのは生前のエーコと交流のあった和田忠彦さん。第一回はエーコの意外な素顔のエピソードも。そして「薔薇の名前」は実はある著名な作品のパロディーの側面も? ぜひご覧ください。
— 100分de名著 (@nhk_meicho) September 3, 2018
人間にとって”知とは何か?””言語とは何か?”…数多くの根源的な問いを投げかけ、全世界で5500万部を超えるベストセラーを記録した小説「 #薔薇の名前 」。記号学者ウンベルト・エーコによって書かれた推理小説を読み解きます。【 #100分de名著 】 #NHKオンデマンド で配信中 https://t.co/TkEgG1kTOW
— NHKオンデマンド (@nhk_ondemand) September 4, 2018
世界で5000万部以上のベストセラーになったらしいが、日本では売れたのかな。売れたという話を聞かない。
記号論を専門とする哲学者が書いただけあって、「薔薇の名前」は難解とされている。されているがゆえに、わかりやすく解説する番組の価値がある。(「堕落論」や「日本文化私観」だと短すぎた。1か月かけて番組を見るより、読んだ方が早い。)
まず「主人公はフランチェスコ会の修道士で、宗派対立を調停するため・・・」といった、日本人にはめんどくさい設定をスルーして、「これはシャーロック・ホームズのパロディーなんだ」というところから入るのは良かった。そういってくれると、がぜん親しみがわくじゃないですか。
「薔薇の名前」は、作者ウンベルト・エーコが、古本屋でとある古い手記を見つけた、という話で始まる。これはもちろんただの設定で、書いたのはエーコ本人。「ワトソンが書いた文章を、コナン・ドイルが出版した」という設定と同じようなものだろう。
しかし中世時代に書かれた文章という形式をとったため、その時代特有の遠回しでくどいレトリック(修辞)が延々と続く。番組内でも、あまりの長さのためか、朗読の時ところどころ「略」されていた。
それでも、最初のページに飾られている一節は面白い。「手記だ、当然のことながら」というのだ。“これはただの××ですよ”と念押しするものに、「ただの何々」であったためしはない。読者はここで、作者エーコから挑発されるわけだ。「この作品の意味を読み取って見せろ」――と。