面白い! たまたま弟がレンタルしてきて、手塚治虫文化賞で新生賞を受賞していた漫画だったので、読んでみた。
漫画解説漫画の傑作「サルまん」では、動物漫画の「擬人化レベル」について分析している。ミッキーマウスから哲学的な「ぼのぼの」まで、動物漫画の幅は広いが、「動物にやらせることでユーモラスな可愛さを出す」という点は共通している。「ビースターズ」はサルまんでいう「擬人化レベルMAX」で、もはや動物世界のほのぼの感はなし。動物で人間並みの繊細な心理描写や、ドロドロとした人物関係が描かれる。
最初は「なぜ動物なのか」と世界観のへんてこさに戸惑うが、「肉食獣だから」といった他の動物に対する偏見は、人間の世界でいえば、人種的偏見のようなものかもしれない。
しかも、現在の科学では人種的偏見に根拠がないことがわかりきっているが、本作では動物の本能や習性は、残っているように描かれている。だから表面的には文明化された社会でも、「肉食獣だから、他の動物の肉や血を食べたい」という危険な習性が時折顔を出し、「偏見」にもある程度の理由や意味があり、スリルがある。
映画「ズートピア」は未見だけれど、こういったのと合わせてみれば、「動物へのステレオタイプ」をめぐる日本と海外の文化もわかりそう。
(※この感想は、ウェブライターの仕事に使うかもしれないと思って、ブログにアップしなかった。仕事で使ったら、こっちでは消さなければいけない場合がある。しかし当面漫画感想の仕事をやる予定もないので、アップする。)