馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

アニメ「銀河英雄伝説ノイエ」の感想、というわけでもなく。

 「キャラデザが「黒子のバスケ」だ」とか何とかいわれている新銀英伝(ノイエ)ですが、あれは、平和な時代だったら彼らも戦争指導者ではなく、NBAスターでも目指して青春送っていたんだ…、という制作者のメッセージなんですよ(適当なでっち上げ)。

 
 銀英伝のすばらしさは、登場人物たちが物語上の役割をもって、重層的に絡み合っている様にあるだろう。我々は、自分だけが社会空間のプレイヤーではなく、他にも様々な考えを持った人間が各々言いたいことを言って、この世界に複雑な影響を与えていることを知っている。だがそれを、実際に創作物で再構築できる作家は、限りなく少ない。
 複数の思考プレイヤーをかき分けるには、作者にも複数の思想的な引き出しが必要になる。さらに、それらのボールをはじいてナイスショットを決める技量も必要になる。
 ガンダムや銀英伝以降、いくつもつくられた「もどき」戦記物も、大抵は天と地ほどクオリティーに差があった。表面的な設定はマネできても、面白さの核心をマネできる近道はない。