岩明均「ヒストリエ」を9巻まで読む。やはり、「ヒストリエ」はすごい。どうやったらこんな話が作れるのか、訳が分からないほどすごい。
あえて難を挙げれば、スカスカした背景だろうか。なんでもウィキペディアやニコニコ大百科によると、アシスタントをつけずに一人で書いているらしい。画面の密度は低いが、前半は人間ドラマの濃さと演出のうまさで、気にならなかった。しかし近刊で戦場シーンがメインになると、絵の弱点が出ているように思う。
そして、どうでもいいことを二つ。
長い流浪の人生を送ったが、その行く先々でモテまくる主人公・エウメネス。まぁ頭がめちゃくちゃいいからな。途中で剣の腕も加わる。一山いくらラノベ主人公のように、理由もなくモテてるわけじゃない。
一方で、ヒロインがまるで使い捨てのように次々と交代している印象も与える。男は結構再登場しているのに…、不思議と女性が(何人か除いて)再登場しない。かつての恋人が一堂に会して修羅場…、なんてラブコメ展開は望まれていないだろうし、出てくる意味がないのか?
また、主人公が本好きということで、大量の巻物が積まれている風景もあるが、現代人の私からすれば、「こんな大昔に、そんなに本があったのか?」という気もする。
紙が発明される以前の、書物がかさばる時代というのもあるだろうし、どうも原本が散逸して現在まで伝わっていない本が多々あるらしい。
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アニメの新「銀英伝」4話。原作小説では、骨とう品狂いのダメなオヤジという描写だったのが、あの「民衆が楽をしたかったからさ」のセリフだけ抜き出され、優しい表情と相まって良い父親に見えるヤン・パパ。
そして、新居では梱包された箱がそのままなのに、本だけ裸で積みあがっているというのが、最高にヤンらしくてグッド。
昨日読んで興奮したばかりの「ヒストリエ」の主人公もそうだが、本のことになると目を輝かせるという点だけ共通して、エウメネスやヤン・ウェンリーのような実務的有能さがない俺…。まぁあれは、本食い虫にとって、「ついでに実務もできれば完璧になるんだが」という理想像だろうな。