犬沼トラノオ日記

「・・・ところで、ご存じですかね、アルジェリアの総督の鼻の下には、瘤があるのを?」(ゴーゴリ「狂人日記」)

旧植民地をめぐる、イギリスとオランダの例。これから英米はどう出るか。追記あり。さらに追記。

 私が休眠している間に、「慰安婦」問題では、日韓合意が文政権に否定されたので、「また蒸し返された」「もううんざりだ」と騒がしい。中には、「欧米は旧植民地に謝罪や賠償なんかしてないのに」と調べもせずに繰り返している人もいる。
 私もこの数か月、改めて調べて知ったのだが、旧植民地に進んで賠償するほど心の広い旧宗主国は乏しいが、かつての被支配者から裁判で補償を求められるケース、そして原告が勝利するケースが出ている。
 たとえば、この無料で読める永原陽子氏の論文。

CiNii 論文 -  植民地期ナミビアでの大虐殺に関する対独補償要求

 アフリカ南部の国ナミビアでは、1900年代に原住民が圧政に耐えかねて武力蜂起するも、宗主国のドイツ軍から徹底的に弾圧された。その後、2001年にナミビア人がドイツ政府と企業を相手に、補償を求めて集団訴訟を起こす。これは棄却されて終わったが、インドネシアの「ラグワデ事件」被害者による対オランダ訴訟では原告が勝利し、また、ケニア人の対英訴訟が、原告側の勝利和解になった。
 その他にも、フランスが植民地アルジェリアで行った、アルジェリア人への拷問や虐待など、裁判に発展すれば旧宗主国が補償することになりそうなケースは、いくらでもある。

 これまでアメリカやイギリスなど第二次大戦の連合国は、「悪の枢軸国と正義の連合国」という図式で、日本の過去清算に批判的態度をとれた。しかしケニアインドネシアの例は、日本やドイツが英米にとって、対岸の火事ではなくなったことを示す。少なくとも、「過去の歴史を蒸し返すな」というのは、世界のトレンドではないようだ。

 韓国・中国が、歴史問題でアジア・アフリカ諸国と連携する、という局面もありうる。そのとき欧米諸国はどう出るか。

 (ところで、注に挙げられた論文タイトルのように、これらは「補償金ビジネスだ」という批判もある(特に、専門的に扱っている弁護士に対して)。日本でいえば、「慰安婦は金目当て」とか、「人権派弁護士の陰謀」といわれているのと、似たようなものか。)

 その他参考。

読書/ 永原陽子(編) 『「植民地責任」論 脱植民地化の比較史』 (青木書店、2009年) その1 : 隗より始めよ・三浦淳のブログ

読書/ 永原陽子(編) 『「植民地責任」論 脱植民地化の比較史』 (青木書店、2009年) その2 : 隗より始めよ・三浦淳のブログ 

 追記。
 最近英語の勉強を始めている。「学校の勉強が何の役に立つんだ」といわれる一方、「社会に出てからもっと勉強すればよかったと思う科目」の1位に英語が入るなど、「英語は役に立つ」と広く認識されている。
 私も、英語圏のニュースを直接チェックできるのと、翻訳しか知らないのでは、情報量に雲泥の差があると痛感する。
 で、原文はまだ読めないのだが、ニューヨークタイムズ2017年11月25日電子版に、「記事は日本の慰安婦だけでなく、第二次大戦中の米国における日本人強制収用や韓国に行ける「慰安所」の存在にも言及。きわめて公平な視野を保つと同時に、女性への性暴力という普遍的な問題をして、慰安婦像を位置づけし直している」という記事があったらしい。

維新・吉村大阪市長「慰安婦像」めぐり姉妹都市断絶宣言 -米国各紙の論調をさぐる 海外の反応

 冷ややかな見方をすれば、日本人強制収用はすでに米政府が謝罪と賠償を行っているので、アメリカ人にとって「もう決着がついた安全な話題」である。アメリカが、原爆投下や米比戦争におけるフィリピン人虐殺など、決着のついていない過去も一緒に語るのは、いつになるだろうか・・・。

 さらに追記。

 この艦これ二次創作小説でもよ~、朝潮ちゃんが英語の勉強はじめてるじゃんかよ~。朝潮ちゃんが英語の勉強しているのに、俺がしないわけにいかんだろ~。それにしてもこの「今日も鎮守府は開店休業」って面白いな。・・・って、あ、俺の書いた小説だった。

「新・今日も鎮守府は開店休業 平成末年のフットボール」/「犬沼」の小説 [pixiv]