馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

経済思想における「自由放任」の由来

togetter.com

 あ、今になってケインズについて書いたツイートがRTされている。
 ケインズ「貨幣改革論 若き日の信条」に収録されている中では、「自由放任の終焉」もおすすめである。これは、ケインズが持論に基づいて「自由放任は終わりだ」といっているのではなく、経済思想における「自由放任」の由来を、批判的に検討しているもの。
 よく、アダム・スミスは、「個人の欲望に任せて自由に経済活動すれば、後は“神の見えざる手”が働いて上手くいく」といった人だ、とされている。
 しかしケインズによると、アダム・スミスという人は、当時王国政府の規制で非効率な経済市場を念頭に(典型例は東インド会社)、自由経済を主張したのであり、そんな雑なことはいってない、とする(たとえば58ページ)。
 だとすれば、広めたのは誰か。啓蒙活動家、政治運動、二流の経済学者の発言…、それらがごちゃごちゃに混ぜ合わさり、規制を目の敵にする雑な思想になったらしい・・・。
 (それにしても、「二流の経済学者」という言い切り方が、ケインズらしい。彼は論敵に容赦ないタイプで、ハイエクを「いかにして精神病院入りとなり終わるかを示す希にみる一例」とけなしたこともある。伊東光晴ケインズ」59ページから孫引き。)

 

貨幣改革論 若き日の信条 (中公クラシックス)

貨幣改革論 若き日の信条 (中公クラシックス)